地方自治体における導入プロセス
技術検証評価
ディスポーザーの社会インフラに対する影響評価は、過去に下水道管渠や処理施設への影響が懸念されていた経緯があります。
しかし国内及びに世界各国の研究機関による科学的実証調査から米国をモデルにした日本の下水道事情では、ディスポーザー導入は十分可能であると考えられます。下水道だけではなく各自治体の様々な問題解決を各セクションでトータルで検討することにより、インフラツールとしての必要性からディスポーザーを採用する自治体が登場しています。
ディスポーザーをインフラツールと位置付ける事によりゴミの総量が軽減され、可燃ゴミの焼却量も減少し、ゴミの処理コストの低減化が期待できます。これにより、自治体のトータルコストの削減と環境負荷の低減、高齢化、環境衛生問題の解決などに寄与できるものと考えられます。
地域インフラ・行政施策との整合性
汚水の処理状況、生ゴミの発生量、ゴミ処理収集の状況は、各自治体の地域特性(人口構成、地域規模など)や社会インフラ整備状況により異なります。また、生ゴミの処理に関しては、コンポスト容器や電動式生ゴミ処理機(バイオ式・乾燥式)に補助金支給、ゴミの減量化に取り組んでいる自治体や、地域で生ゴミを回収し集合処理の生ゴミによるメタンガス化に取り組んでいる自治体もあります。ディスポーザー導入時には、これらのゴミ処理に関する影響評価が必須となります。
ディスポーザーの導入については、下水道管理者の使用自粛や条例による規制等や学識経験からの慎重論があり、設置に向けては合意形成に向けた場の確保等が必要です。また、大都市等でディスポーザーが全普及したと仮定すると、ゴミ回収に要するパッカー車などが50%削減できる事が期待されます。しかし同時にこのフィールドで経済活動を行っている関係各部署、関連等の経済的影響にも配慮する必要が生じます。
ディスポーザーの導入を検討する際は、地域に合った技術的課題の克服と検証を行い、バイオマス循環型社会の構築に向け行政施策を提言し、ディスポーザー導入が社会環境影響評価の確立と合致する必要があり、地域経済の影響も考慮しなければなりません。
ディスポーザーをバイオマスリサイクルの有効なツールとして適性普及させるためには、
- 地域特性(人口構成、社会インフラ状況など)に合わせた、適正な普及形態を選択し、住民(使用者)のコンセンサスを形成し、行政施策へ反映させた、「手続き・判断手法(条例化・基準化)」の構築
- ディスポーザー導入後の地域バイオマス循環型社会の推進による「行政コスト低減効果」・「環境負荷削減効果」
を公表する必要があります。
地域住民の設置意義
ディスポーザーの社会的意義、地域社会、環境への貢献のみならず、各家庭内においてのディスポーザーの利便性を告知する事により普及促進の後押しをする必要があります。また、下水道本管整備地域の未接続世帯には、ディスポーザー使用促進の一環として下水道への接続をPRします。
官民一体となるディスポーザの普及、サポート体制
ディスポーザーをインフラツールとして捉え、下水道管理者、事業者(販売者)、住民が協力してディスポーザーの設置や維持管理を行う体制を整備することが重要です。
事業者(販売者)は、地域環境に影響を及ぼす製品であるとの認識の下、下水道管理者のディスポーザー導入に関する設置基準の作成や住民が参画する維持管理の仕組み作りに協力する必要があります。水洗トイレと同等の位置づけで、円滑な導入を図ります。
- ディスポーザーの「設置・維持管理基準」を明確にして、ディスポーザーの不正設置や粗悪品の流通を抑制する
- 「計画確認申請及び設置工事・使用開始報告書」を指定工事店から自治体に提出する。 ディスポーザーを従来の排水設備と同等に位置付けることで、指定工事店による確実な工事と担保と設置状況の把握を行い、責任の所在を明確化する
- 使用者へのディスポーザー使用説明を義務付けることで、誤った使用によるトラブルを未然に防止する
- 「アフターサービス」網の構築を個別販売店に依存せず、指定工事店、販売店、取次店、自治体と一体となった組織を運営する。排水設備の適正な維持管理とトラブル時の速やかな対応が出来る仕組みを構築することにより、使用者の安心とトラブル時の適正料金を担保する
- ディスポーザー販売に対する規制の取り組みを行う(ディスポーザーは家電製品であると同時に、排水設備として位置付けることにより無秩序な販売を防止する)
- 地域企業により宣伝、販売、取次、施工することでアフターサービス最大限活用する。できるだけ税金の予算を利用せず、効率よく普及させることにより地域経済を活性化させる